SS NEWS(令和6年8月)~生命保険と相続対策~
今回のテーマは、生命保険と相続対策です。生命保険(特に死亡保険金)は使い方次第で、相続の様々な場面で活用できます。そこで今回は、死亡保険金が相続対策でどのように活用できるのかについて解説いたします。
■ 受取人を指定できる・・・遺言書と同じ効果 ■
遺産は、遺言書が「ある」ときは、原則として遺言書の通りに分けます。しかし、遺言書が「ない」ときは、相続人全員による「財産分けの話し合い(遺産分割協議)」で誰が何を相続するかを決めます。つまり、特定の人に特定の財産を渡したい時は、遺言書を作成することが必要です。
一方、死亡保険金は契約者が生前に指定した「受取人」に支払われます。他の相続人との財産分けの話し合いは不要で、さらに、他の相続人から「遺留分」の請求をされる心配もありません。つまり、死亡保険金を活用することで、遺言書がなくても自分の意図した相続人に意図した金額を渡すことができ、かつ、受取人は他の相続人とトラブルになるリスクを避けることができます。
■ すぐに受け取れる・・・一方、預金はすぐに引き出せない ■
被相続人が亡くなると預金口座は「凍結」され、入金も出金もできなくなります。一般的には、財産分けの話し合い(遺産分割協議)で預金を誰が相続するかを決め、かつ、金融機関所定の用紙に相続人全員が署名・捺印しないと「預金の名義変更・解約」ができません。財産分けの話し合い(遺産分割協議)が長引くと「預金残高はあるのに引き出せない」という状態が続きます。
一方、死亡保険金は、申請してから短期間で支払われます。さらに、まとまった金額になるため、相続人にとっては相続税納税資金を心配しなくて済むので安心です。
※ 預金の引き出しについては、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」により、遺産分割協議の「前」であっても、1金融機関につき最大150万円まで払い戻しを受けることができます。
■ 代償財産に活用できる・・・財産分けのトラブル回避 ■
代償財産とは、不動産や自社株式など分割の難しい財産を受け取った人が、他の相続人に「自分が持っている預金等」を支払うことで、相続する金額のバランスをとる方法です。
例えば、父、長男、二男の家庭で父が亡くなり相続が発生したケースで考えてみましょう。長男は父と同居で、二男は結婚して実家を出ています。
相続財産は自宅不動産3,000万円と預金400万円で、自宅不動産はそこに住んでいる長男が相続し、二男は預金400万円を相続しました。そして、このままでは長男と二男のバランスがとれないので、長男は「自分の預金」から1,300万円を二男に渡しました。
その結果、長男は3,000万円-1,300万円=1,700万円、二男は400万円+1,300万円=1,700万円となりバランスがとれることとなります。この場合の「長男が渡した1,300万円」が代償財産です。
さらに、この1,300万円を長男が自分の預金から出すのでなく、父から死亡保険金として受け取る仕組みにすると、長男は自分の預金を取り崩すことなく二男に支払うことができ、財産分けのトラブルを回避することができます。(なお、死亡保険金を二男に渡すのはお勧めしません。)
■ 介護や看病をしてくれている息子の嫁に財産を渡せます・・・感謝を伝えられます ■
「介護や看病、日常の色々なことを息子の嫁がやってくれている」というケースは少なくないと思います。そして、一生懸命支えてくれている息子の嫁に財産を遺したいという場合もあるでしょう。そんな場合は、「遺言書」を書く必要があります。なぜなら、遺言書がない場合に必須の「財産分けの話し合い(遺産分割協議)」に法定相続人ではない息子の嫁は参加できないからです。
一方で、息子の嫁を受取人にした死亡保険金は先述の通り財産分けの話し合い(遺産分割協議)が必要ないため、息子の嫁に直接お金を渡すことができ、感謝を伝えることができます。
■ 相続税の非課税枠(法定相続人1人あたり500万円)・・・相続税負担が軽減されます ■
遺族が受け取る死亡保険金は、原則として相続税の対象になります。「息子の嫁」等の法定相続人「以外」の人が受け取った死亡保険金も同様に相続税の対象です。
一方で、死亡保険金は相続税の計算で非課税枠があります。法定相続人1人あたり500万円です。したがって、預金で遺すより死亡保険金で遺す方が相続税の負担が軽減されます。
なお、非課税枠の対象となるのは法定相続人のみです。先述の「息子の嫁」は法定相続人に該当しないため500万円の人数にカウントできません。さらに、息子の嫁が受け取った死亡保険金は非課税対象とならず、その全額に相続税が課されますのでご注意ください。
■ 専業主婦の妻名義の保険料を夫が負担したら??? ■
死亡保険金を含め、生命保険契約全てについて言えることですが、相続税の対象になるものは、保険料を「被相続人が負担」していた場合です。契約名義が誰かは関係ありません。
例えば、専業主婦の妻が、妻名義(契約者が妻)の生命保険に加入しており、その保険料を夫が払っている場合を考えてみます。
夫が亡くなった時は、この妻名義の生命保険契約は「保険料を夫が負担していた」ので、夫の相続税の対象となります。言い換えると、相続税の視点では、この生命保険契約は夫の財産であり、名義人である妻の財産ではありません。
この話をご説明すると、「贈与税の110万円非課税枠」があるから、年間の保険料が110万円以下なら贈与税は非課税で、相続税もかからないのでは?という質問を受けることがあります。答えは「贈与税110万円非課税枠が適用され、贈与税も相続税もかからない」ケースもあれば「夫が保険料を負担したとみなされ相続税がかかる」ケースもあり、ケースバイケースです。
判定のポイントは、【夫から妻への資金移動の方法】【保険料の支払い方法】です。文字数の都合で説明は割愛しますが、「妻名義の保険料を夫が負担している場合」は、弊社担当者にご相談いただくことをお勧めいたします。(「成人した子名義の保険料を親が負担している場合」も同様です。)
2024.8.9 サクセスサポートニュース(令和6年8月)
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