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SS NEWS(令和5年2月)~令和5年度税制改正(インボイス制度ほか)~


【 令和5年度の税制改正 】
 先月のサクセスニュースでは、昨年末に発表された令和5年度税制改正の目玉ともいえる「生前贈与」の改正についてご案内いたしました。お見逃しになった方は弊社ホームページの「新着情報」でバックナンバーが読めますので、ご確認いただきたくお願いします。今回は、「生前贈与以外の重要改正」についてご案内申し上げます。


【 1.消費税 】
1.インボイス制度
 登録申請期限が本年3月31日、施行が10月1日とされている「インボイス制度」について、大きな改正がいくつかあります。

(1)インボイス制度の登録申請期限
 本年10月1日の制度開始に間に合わせるには、「3月31日」までに登録申請を行う必要がありました。今回の改正で「3月31日」の期限が事実上撤廃され、制度開始の前日(9月30日)までに登録申請すれば10月1日からインボイス登録事業者とされることとなります。(インボイス制度そのものは10月1日から実施される予定です)

(2)売主負担の振込手数料
 得意先から売上代金が振り込まれる時に振込手数料相当額が控除されて入金されることがあります。
 例えば、110,000 円の売上代金から 550 円が控除され 109,450 円が入金となる、という場合です。
 改正前のインボイス制度ではこの 550 円についても「インボイスの保存が必要」とされており、実務上非常に煩雑なため改正が要望されておりました。

 今回の改正で、次の会計処理の場合はインボイス保存が「不要」となります。

≪仕訳≫
借方(普通預金)       109,450 円 / 貸方(売掛金)110,000 円
  (売上値引または売上高)   550 円 /

 一方、次の会計処理の場合はインボイス保存が「必要」となりますのでご注意ください。

≪仕訳≫
借方(普通預金)  109,450 円 / 貸方(売掛金)110,000 円
  (支払手数料)   550 円 /

 つまり、「会計処理の違いで保存の要否が異なる」とされ、「売上値引」ならインボイス保存不要、「支払手数料」ならインボイス保存必要という取り扱いとなりました。今後の会計処理にご注意ください。

なお、売主負担の振込手数料のほか、「税込み1万円未満の売上値引」についてもインボイス保存が不要となります。

(3)1万円ルールの導入(6年間の経過措置)
 改正前のインボイス制度では「金額が少なくてもインボイス保存が必要」とされておりました。事務負担の増加に配慮し、「次の要件の両方に該当する場合」に限りインボイス保存が不要とされます。(「6年間の経過措置」です)

要件① 売上高が1億円以下(前々期の売上高で判定)の法人・個人事業者
要件② 税込み金額が1万円「未満」(「以下」ではありません)の取引

 この改正により、インボイス保存が「不要」となるのは次の4つのケースです。

(a) 今回改正の「1万円ルール」(一定の中小事業者・6年間の経過措置)
(b) 前記(2)の売主負担振込手数料(「税込み1万円未満の売上値引」を含む)
(c) 公共交通機関の料金(飛行機・タクシーは含まれません)
(d) 出張旅費精算の場合

(4)インボイス登録をきっかけに免税事業者から課税事業者になった場合の特例
 消費税額納税の負担軽減を図るため、納税額を売上に係る消費税額(預り消費税額)の「2割」に軽減する「3年間の経過措置」が設けられます。


【 2.法人税 】
 中小企業向けの【投資促進税制】が延長されました。
 次の設備(中古やリースは不可)を取得した場合は、特別償却 30%(将来の減価償却費を取得した年度に前倒しで計上できます)または税額控除 7%(税金から直接控除できます)を選択適用できます。

① 機械装置:1 台 160 万円以上
② ソフトウエア:70 万円以上
③ トラック(3.5 ㌧以上)(金額基準なし)
設備投資のご予定がある場合は、お早目に弊社担当者にご相談ください。


【 3.所得税 】
 NISAが拡充・恒久化されます。
 従来の仕組みは次の通りです。
●「一般NISA」は、年間上限 120 万円、投資期間最長 5 年間(非課税枠 600 万円)。
●「つみたてNISA」は、年間上限 40 万円、投資期間最長 20 年間(非課税枠 800 万円)。

 これが次の通り改正されます。
●「一般NISA」と「つみたてNISA」を統合し「新・NISA」とする。
●年間上限 360 万円、投資期間「無期限」(非課税枠 1,800 万円)とする。

 なお、新・NISAの投資内訳として「つみたて投資枠」「成長投資枠」を設け、それぞれに、年間上限、非課税枠が設けられます。


【 4.その他 】
 電子帳簿保存法の新たな猶予措置が導入されます。
 令和4年1月から施行予定だった「電子的に受け取ったデータの電子的保存」は、ご存じの通り令和5年の年末までは「電子的保存でなく紙出力保存を認める」という猶予措置がとられました。
 今回の改正で猶予措置が終了する令和6年1月の取り扱いが公表されました。「紙出力保存不可」となる一方で「電子的保存の要件の一つである【検索機能確保】を満たしていない保存を認める」という新たな猶予措置が導入されます。
 【検索機能確保】の代表例は「電子的保存するデータのファイル名に、日付・相手先・取引金額の3要素を明記する」という対応のことです。「この3要素に不備があっても認める」というのが新たな猶予措置となります。
 重要ポイントは、令和 6 年 1 月 1 日以後は「紙出力保存不可」となる点です。
 社内での対応を進めていただきたくよろしくお願いいたします。

2023.2.10 サクセスサポートニュース(令和5年2月)