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SS NEWS(令和5年11月)~振込手数料の負担はどちら側??~


【 振込手数料の負担はどちら側?? 】

 最近になり仕入先等から「インボイス制度導入後は、振込手数料を弊社が負担する場合、原則として貴社から立替請求書を交付いただくか、弊社から返還インボイスを交付する対応が必要となり、経理業務の煩雑化につながりますため、大変恐縮ではございますが2023年10月以降に、弊社へお振込いただく際の振込手数料につきましては、貴社にてご負担いただきます様、ご理解とご了承をお願い申し上げます。」といった「振込手数料のご負担のお願い」を主旨とした「お知らせ」が届いていませんでしょうか。
 今回は「振込手数料の負担」についてと、「振込手数料に係るインボイス制度上の取り扱い」についてご説明します。


【 振込手数料の負担は、原則として買い手(支払)側 】

 振込手数料は、売り手と買い手の双方間で「振込手数料は売り手負担とする」という「別段の意思表示=合意」がない限り「買い手負担が原則」です。その法的根拠は「民法」と「下請法」にあります。
 民法第484条には、別段の意思表示がない限り、債権者(売り手)の住所にて弁済をしなければならない「債務持参の原則」が定められています。代金を口座振込する場合にも「債務持参の原則」が適用され「住所=債権者の口座」に入金されて初めて弁済されたことになります。
 民法第485条には、「別段の意思表示がない限り、弁済の費用は債務者(買い手)の負担とする」と定められています。これにより弁済の費用=振込手数料も債務者の負担となるのです。
 また、下請法第4条1項3号では「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずることを禁止」しています。合意がないにも関わらず振込手数料を差引いて払う行為は、この禁止事項に該当します。
 これらの法律を根拠に「振込手数料(=債務の費用)」は「債務者(買手)」の負担となるのです。


【 その一方で実務上は・・・ 】

 法律上の振込手数料の取扱いは上記の通りですが、実務上では、長年の商取引の慣習で振込手数料を差し引いて代金の支払いが行われていることが多いです。
 この理由には諸説あるようですが、「昔は売り手が代金の集金に回っていたところ、ある時から売り手側の都合で、現金集金ではなく振込を依頼するようになり、その変更の際の条件として、振込手数料は売り手負担となり、その名残が今でも続いている。」というお話をよく聞きます。
 昔からのこのような合意のもとに振込手数料を差引いて代金を支払っていた仕入先から、いきなり冒頭の様な書面がFAXや郵便で届きますと少し考えることもあるかと思います。ですが、法律的には間違ってはいませんので、先方の依頼に応じるのか、今まで通り振込手数料を差し引いて支払うのかにつきましては、「諸事情等を勘案した上で冷静かつ柔軟な対応のご検討」をお願いいたします。
 これとは逆に、振込手数料を差引いて入金をしてくる得意先に対して、冒頭の様な書面を送付することは法律的には間違ってはおりませんが、先方は少なからず何かしら感じることがあるかと思います。個々の状況によって対応も違うと思いますので、今まで通り振込手数料を差引いての入金でいいのか、得意先に負担してもらうようにするのか、いい機会かと思いますので、対応のご検討をお願いいたします。 


【 インボイス制度で買い手が負担する振込手数料 】

 11,000円の代金を支払う際に、振込手数料が550円かかるとします。
 買い手が負担するのであれば、支払金額は11,550円です。
 11,000円のインボイスは仕入先から発行されます。
 550円のインボイスは金融機関が発行します。
 「ATM利用」と「窓口・ネットバンキング」とで少し取扱いが変わりますが、基本的には手続きは簡単なので大きな問題にはなりません。

・ATM利用の場合
 金融機関は「特例」により振込手数料にかかるインボイスの交付義務が免除されていることから、買い手もインボイスの保存は不要です。
ただし帳簿に「ATMの場所等」を記載しておく必要があります。 

・ネットバンキングまたは金融機関の窓口の場合
 金融機関は「原則」通り、振込手数料にかかるインボイスを交付しますので、買い手はそのインボイスの保存が必要です。金融機関によってインボイスの交付方法が異なるようですので、詳細は各金融機関のホームページ等でご確認ください。


【 インボイス制度で売り手が負担する振込手数料 】

 上記と同様に11,000円の代金を支払う際に、振込手数料が550円かかるとします。
 買い手は振込手数料を差引いた11,000-550=10,450円を振り込んできました。その結果、550円は「売り手が負担」していることになります。
 金額は小さいですがインボイス上は「ややこしい問題」です。
 この550円の取扱いにつきましては以下の3つの方法があります。

 ① 売上値引きとする方法
 ② 買い手から役務の提供を受けた対価の支払いとする方法
 ③ 買い手が金融機関に立替払いしたとする方法

 実務上、現実的に取り得るおススメの方法は「①」一択です。②③につきましては、ご紹介をしましても非常にわかりづらい内容になっておりますので、①の方法についてのみご紹介いたします。


【 売り手が負担した振込手数料を売上値引きとする方法 】

 当初のインボイス制度上は、「値引きや返品、割戻など、売上対価の返還等を行った場合には、返還インボイスの交付が必要」でしたが、制度運用が始まる前に早々に改正が入りまして、現在では「値引き等の金額が10,000円未満である場合には返還インボイスの交付義務が免除」となっています。
 振込手数料が10,000円以上になることはありませんので、差引かれた振込手数料につき、「売上値引き」と帳簿に記載すれば、返還インボイスの交付義務は不要です。
 「負担した振込手数料相当額が売上値引きなのか??」という「適正な決算書を作成する」という観点からの問題はありますが、消費税申告実務上は「売上値引きとする方法」が事務手続きの負担が軽く済みますので、こちらの方法をおススメします。

2023.11.15 サクセスサポートニュース(令和5年11月)