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SS NEWS(令和4年9月)~外注費? 給与?~


 令和5年10月から「インボイス制度」が開始されます。
 インボイス制度の詳細説明につきまして今回は割愛いたしますが、インボイス制度開始後は「インボイス」に基づいて消費税の申告書が作成されているかどうか、特に個人の方に支払った費用について「インボイスが保存」されているかどうか、税務調査の現場で今まで以上に細かく確認されることが予想されます。
 また、その際に「インボイス番号の記載のない個人事業主からの請求書」について、その個人の方への支払いは「外注費」なのか「給与」なのか、という確認が今まで以上に厳しくなされることが想定されます。

 


◆ 外注費? 給与? ◆

 個人事業主の方に下請け業務を依頼してその対価を支払った場合の「その対価」を、一般的には「外注費」として会計処理(費用処理)することがほとんどかと思います。
 税務上はその費用が「外注費なのか?それとも給与なのか?」はとても重要な問題です。
 
 支払った会社側は「外注費」であれば、源泉所得税の徴収が不要、消費税の仕入税額控除が可能(国に納税する消費税から差し引ける)となり、「給与」であれば、源泉所得税の徴収・納税が必要となり、消費税の仕入税額控除が不可(国に納税する消費税から差し引けない)という大きな違いがあります。
 給与とされれば社会保険料の負担が生じる可能性もあります。
 一方で受け取った個人側は、「その対価」が外注費であれば、その税務上の取扱いは「事業所得(事業として認められない場合には雑所得)」となり、「その対価」が給与であれば、「給与所得」となります。
 両者の判断に際しては明確な条文はありませんが、下記の様な判断基準があり、税務上の取扱いは前述の通り全く異なります。

 


◆ 外注費か給与かの判断基準 ◆

 事業所得か給与所得かは主に以下の観点で区分されます。

・事業所得・・・自らの責任と計算において独立して行っている業務にかかる所得
・給与所得・・・雇用契約等に基づき、指揮命令に服して行った労務に係る所得

 基本的には、事業所得の場合には「請負契約書等」が締結され、給与所得の場合には「雇用契約書」が締結されている場合が一般的です。しかし、調査では形式的に、契約書だけで上記のいずれかに該当するかの判断されるのではなく、以下の事項を『総合的に勘案して判定』することとされています。

(平成15年7月東京国税局内部資料より)
① その契約に係る役務提供の内容が他人の「代替」を容れるかどうか。
② 役務提供にあたり事業者の「指揮監督」をうけるかどうか。
③ まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のために滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る「報酬の請求」をすることができるかどうか。
④ 役務提供に係る「材料又は用具等は供与」されているかどうか。

 


◆ 最後に ◆

 その支払いを「外注費」として扱うためには、実質が伴っていることが大前提ですが、外注費の場合には「その業務内容等を明らかにした契約書を締結する」、「先方が自ら計算し作成した請求書に基づき支払う」といった形式も整備し、外注先に「正しく確定申告しているかを確認」をする等、調査官に余計な疑惑を抱かれないようにすることが肝要です。
 当初の申告では「外注費」として会計処理をしていたが、税務調査で否認され「給与」として認定されますと、その給与に係る源泉所得税の追加納付や、消費税の追加納税及びこれらに係る加算税や延滞税が生じる場合が不可避です。

2022.9.9 サクセスサポートニュース(令和4年9月)