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SS NEWS(令和4年8月)~【生命保険】を活用した相続対策(3つの視点)~


 今月は多くの地域でお盆の季節を迎えます。盆棚飾りやお墓参りを通して、ご先祖・ご両親・子供・お孫さんのことを考える機会が多くなることと思います。今月のサクセスニュースでは、子供・孫に財産を承継する時に役に立つ【生命保険】にスポットをあててお伝えいたします。


■ 【生命保険】を活用した相続対策・・・【3つ】の視点 ■

<視点その1>・・・相続【税】対策

 相続税の税金計算では、3つの非課税枠があります。
 【基礎控除】、【死亡退職金非課税枠】、【死亡保険金非課税枠】の3つです。

 1番目の【基礎控除】は【非課税枠=600万円✕法定相続人の数+3,000万円】
 例えば、夫が亡くなり、相続人が妻と子供2人の場合は、基礎控除額=600万円✕3人+3,000万円=4,800万円となり、相続財産が4,800万円を超えると、「超えた部分」について相続税がかかります。

 2番目の【死亡退職金非課税枠】は【非課税枠=500万円✕法定相続人の数】となります。
 例えば、会社から死亡退職金5,000万円を受け取った場合、相続人が妻と子供2人の場合は、非課税枠=500万円✕3人=1,500万円となります。死亡退職金のうち相続税の対象となるのは5,000万円-1,500万円=3,500万円となります。(死亡退職金にも相続税がかかります。)
   
 3番目の【死亡保険金非課税枠】は、【非課税枠=500万円✕法定相続人の数】となります。
 2番目の死亡退職金と計算式は同じです。
 例えば、保険会社から死亡保険金4,000万円を受け取った場合、相続人が妻と子供2人の場合は、非課税枠=500万円✕3人=1,500万円となります。死亡保険金のうち相続税の対象となるのは4,000万円-1,500万円=2,500万円となります。(死亡保険金にも相続税がかかります。)

 この場合、4,000万円を「預貯金などの金融資産で保有」している場合の非課税枠は【基礎控除】だけですが、その4,000万円を「死亡保険契約」とすると、前述のとおり、非課税枠は【基礎控除】に加え【死亡保険金非課税枠】も使えるので、相続税が少なくなります。

 これが、死亡保険金の相続【税】対策です。今は90歳でも新規に加入できる生命保険(死亡保険)がございます。

 

<視点その2>・・・【納税資金】対策

 相続税の納税が必要な場合は、相続開始日(死亡日)から10か月後までに【現金一括納付】が原則です。
 一方、「現金一括納付が困難である」と税務署が認めた場合に限り、「延納」という分割納付や「物納」という「不動産・株式等」での現物納付も認められております。
 が、「物納」はハードルがとても高く認められる可能性は極めて低いです。
 物納審査業務で浦和・大宮・川口税務署等5つの署を管轄する浦和税務署の物納担当官によると、「不動産」が認められるのは年に1件もないそうです(5つの税務署の合計です)。
 とすると、相続税納税のために【現金】をご用意いただく必要があります。

 「相続人の心配ごとトップ2」の1つは【納税資金の確保】です。
 財産を遺す方が、納税資金のことまで配慮してくれた時の相続人の安心はひとかたならぬものがございます。

 では、どのように資金を確保するのがよいのか?

 資金の確保のための1つの方法が死亡保険金です。
 保険を使うメリットはいくつかあります。

(1)死亡保険にご加入いただき、【相続税の税額=死亡保険金】としていただくと、保険に加入した時点で、相続税の納税資金が確保されたことになります。
(2)死亡保険金は預貯金などの金融資産と異なり、死亡により【凍結】されることがないこともメリットです。
(3)「遺産分割協議が長引いて金融機関から引き出せず、納税に間に合わない」という事態にも対応できます。

 

<視点その3>・・・【財産分け】対策

 「相続人の心配ごとトップ2」のもう1つは【財産分け】です。
 ご存知の通り、遺言書があればその内容に従って分けることになりますが、遺言書がない場合は、相続人全員で話し合いを行い、その結果を「遺産分割協議書」にまとめ、相続人全員が自署押印します。
 相続人の権利意識が高まっている昨今、「どの財産」を「誰」がもらうのか?全体のバランスはどうなのか?について相続人が悩むケースが多くなっております。
 
 それを解決する一つの方法が「死亡保険金」です。
 中小企業の社長の事例で考えてみましょう。
 例えば、本人(社長)、妻、長男(後継者)、長女(会社とは関係なし)の家族構成とします。【死亡保険金】の受取人は誰がよいでしょうか?
   
〔着眼点1〕
 自社株を相続するのは後継者の長男だと考えると、相続税の納税が多額となるのは長男です。
 ということは、納税資金を確実に長男の手元に届けるには保険金受取人を「長男」とするのが望ましいかもしれません。

〔着眼点2〕
 自社株の評価が高い場合は、「遺産総額のうち長男が相続する財産の比率」が高くなります。
 その結果、長男と長女の相続財産の比率がアンバランスになると財産分けの話がまとまらないことがあります。
 この場合、生前に、死亡保険金を長男が受け取るように契約し、その死亡保険金の一部を長男が長女に渡すことでバランスを取り戻すことが可能です。(専門用語では「代償分割」といいます。)

 このように、死亡保険金は受取人を指定できるので「遺言」と同じ効果があり、財産分けに役立ちます。

 今回は【生命保険】(死亡保険金)活用の【3つ】の視点をご紹介しました。
 生命保険の新規の契約、受取人の変更などは、ご本人がお元気な時でないとできません。
 特に、最近増加していると言われる「認知症」になってしまいますと、契約が結べません。
 お盆の時期を「財産を子供・孫にどのように遺すか」について考えるきっかけにしていただければと存じます。

2022.8.10 サクセスサポートニュース(令和4年8月)