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SS NEWS(令和4年4月)~最後の切り札【値上げの検討】~


■ 値上げをご検討ください! ■

 顧問先の皆様との会話で「売上単価」の話題になると「もう◯◯年間も単価が上がってない」とお聞きすることがあります。
 その事情を詳しく教えていただくと、値上げしたくてもできない皆様のご苦労がヒシヒシと伝わってまいります。
 今回は、そのような皆様のご苦労を百も承知で、不躾ながらお伝えさせていただきたいことがあります。

 【値上げをご検討ください】です!

 あらゆるモノの値段が上がっています。
 しかも、【これから】さらに上昇していきます(ここが重要です)。
 さらなるコストアップに対応するため、最後の切り札である「売上単価アップ=値上げ」をご検討ください。


■ なぜ値段が上がるのか? ■

 すでに十分ご存知のことと思いますがご一緒に整理してみたいと思います。
 というのは、世界的な規模で非常に多くの分野にて同時的に値上げが重なるのは稀にみることだからです。

 1つ目は、新型コロナによる経済活動の停滞です。
 経済が停滞し、モノが停滞し、原油の需要が大きく減少しました(原油の需要激減の反動が今の高騰の要因の一つです)。
 サプライチェーンが大きく崩れ、材料・部品などが調達難となり値段が上がり、特に、液化天然ガス(LNGガス)や石炭などエネルギー資源の価格が高騰しております。

 2つ目に、ロシアのウクライナ侵攻です。
 小麦の輸出国トップはロシアでウクライナは5位のため、小麦の輸入が減少し価格が上昇。そのため、食品価格が軒並みアップしております。
 欧州がロシアからの天然ガス輸入を制限し、天然ガスなどのエネルギー価格が高騰している影響を受けて、昨年10月からすでに上昇している電力価格が、数ヶ月後にはさらに上昇すると報道されております。
 例えば電力先物価格は、資源エネルギー庁の調べによると2021年4月の10円/kWhが2022年2月(ウクライナ侵攻前)に18 円/kWhと約1.8倍に上昇しておりました(新型コロナによる経済停滞で液化天然ガスLNGガスの輸入価格上昇の影響)。
 ウクライナ侵攻により2022年3月は37 円/kWhと侵攻前の約2倍に急上昇しております。
 そして、平均的な家庭の電気料金は2021年5月の6,822円から2022年5月には8,505円になる見込みで、1年間でなんと24.7%の上昇になります。
 しかもこの値上げはウクライナ侵攻前から予定されており、ウクライナ情勢を受けてさらなる引き上げが不可避であり【値上げの序章】との見解もあります(NHK調べ)。
 原油価格はすでに高騰しており(ロシアは三大産油国の1つ)、ガソリン価格の価格推移は皆様がご存知の通りです。
 原油価格が上昇すると代替品であるエタノールへの需要が高まり、エタノールの原料であるトウモロコシの価格が上がります。
 原油価格と穀物価格が連動するようになっております。
 そして、ウクライナは世界第4位のトウモロコシ輸出国です。
 原材料・部品のみならず、包装資材や物流コストが上昇すると予想されます。

 3つ目に、円安です。
 日本が「輸出大国」と言われたのは今は昔で、現在は、輸入額が輸出額を超えております。
 輸入国にとって、とりわけ中小企業にとって円安は厳しい状況です。
 新型コロナが収束しロシアがウクライナから撤退したら、高騰した価格は元の価格に下がるでしょうか?
 コロナ前の水準に戻るのは難しいのと思わざるを得ません。


■ 最初にやるべきは自社の利益分析 ■

 このような現状を踏まえ、まず取り組んでいただきたいことは、前述のそれぞれの値上げ要因を自社のコスト増加額に具体的に換算して、利益がどう変化するかの分析です。
 分析にあたり当社のサポートをご希望される時はご遠慮なく担当者にお申し付けください。
 増加する項目は、例えば、仕入高、材料費(組み付け部品・塗料を含む)、製造部品、消耗品費、動力費(電気代など)、荷造運賃、車両燃料費などです。
 ※コスト増加額の算定が困難な時は、とりあえず全て5%アップで分析することをおすすめします。
 というのは、1、2か月後の正確な計算より、今すぐ概算額を計算することのほうが貴社にとって役に立つと思うからです。
 分析する指標は、【粗利益額の減少】【固定費の増加】【経常利益の減少(特に黒字確保か赤字転落か)】【損益分岐点売上高の上昇】です。
 利益分析の結果、最後の切り札である「値上げ」を行わないと赤字転落となる会社様が少なからずいらっしゃると考えております。
この分析で、値上げの必要性・緊急性を検討してください。
 これだけの値上げが重なるのですから、自助努力にも限界があると考えます。


■ 得意先との値上げ交渉の注意点 ■

 私たち税理士事務所が値上げ交渉のことを申し上げるのは誠に僭越でございますが、ご高覧いただければと存じます。
 取引先はこちらが値上げをお願いしている「理屈」は分かっても、「心情的」に受け入れられないことは意外と多いと思います。
 そこで、短期戦でなく長期戦で臨まざるを得ないと思います。
 特に、大口得意先だけど信頼関係がそれほど強くない取引先は、時間がかかることは必至です。
 だからこそ、早めのスタートが肝要です。
 次に着手するのは、ある程度強い信頼関係がある大口得意先です。
 最後に着手するのは小口の得意先です。
 どの製品を、いつから、いくら値上げするか? という検討だけでもかなりの時間が必要になると思います。
 「特に値上げが必要な製品」「特に値上げが必要な得意先」の絞り込みも必要かもしれません。
 さらに、営業担当者の方に対し、2つの事前準備をお勧めいたします。

(1) ロールプレイング練習(模擬場面を設定し参加者が実演して周囲から指導を受ける練習)
  これまで値上げ交渉をほとんど行ってなかった場合は、事前の準備は必要です。
  そして、次の事を伝わりやすいように伝えること練習を行うと効果的だと思います。
  ① 世界的に原材料費が高騰等(社外の環境・状況)
  ② これまでの当社のコスト削減努力(社内の環境・状況)
  ③ 自助努力では限界だからこその値上げのお願い

(2) 自社の利益の分析を「営業担当者」と共有し、値上げしないと当社が大変なことになるとの認識を営業担当者に十分に持ってもらう。
  そうすることで、得意先の値上げ拒否にも「あたり負け」しないメンタルが備わると思います。

以上でございます。

2022.4.11 サクセスサポートニュース(令和4年4月)