SS NEWS(令和2年3月)~所得税の身近な部分が改正されます!~
◆ 所得税の身近な部分が改正されています! ◆
平成30年の税制改正で可決され、今年から全てのサラリーマンについて影響が及ぶ所得税の改正が2つあります。
1つ目の改正は、給与収入(年収)から一定の方法により計算する「給与所得控除」についてです。これは、サラリーマンの必要経費ともいわれ、一定の計算により算出した金額が経費の様にみなされて、給与から控除されます。その控除額は意外と大きく、例えば年収500万円の場合の給与所得控除額は154万円にもなります。
このサラリーマンにとっては「重要な給与所得控除」が減額され、結果として所得税の増税になります。給与所得控除に関する改正点は以下の2つです。
① 控除額が一律10万円減額されます。→増税
② 給与年収が850万円で給与所得控除は195万円の上限となり、給与年収が850万円を超えても、その控除額は一律195万円(改正前は給与年収1,000万円で控除額の上限は220万円)で据え置かれます。→増税
2つ目の改正は、サラリーマンのみならず、収入がある全ての人に適用がある「基礎控除」です。基礎控除は一律で収入から控除されます。基礎控除に関する改正点は以下の2つです。
① 基礎控除額が一律10万円増額されます。→減税
② 合計所得が2,500万円超の場合には基礎控除の適用自体がなくなります。→減税
◆ その影響は・・・?? ◆
まず、給与収入が850万円以下の方は、実質的に変化なしです。給与所得控除が10万円減少する一方で、基礎控除が10万円増加しますので、お互いの増減が相殺されるからです。「給与所得控除の10万円が、基礎控除に振り替えられた」と考えてもいいと思います。
給与収入が850万円超の方は状況が変わり、「増税」となります。給与収入が1,000万円の方を例に考えてみましょう。
改正前:基礎控除38万円 + 給与所得控除220万円 = 258万円
改正後:基礎控除48万円 + 給与所得控除195万円 = 243万円
上記の通り、基礎控除と給与所得控除の合計額で15万円の違いが生じます。控除額が減ることで所得が増え、その結果として税負担が増えることになります。所得税率を20%としますと、年3万円の増税です。
一方で、給与収入が850万円超の方の負担増をやわらげるため、新たに「所得金額調整控除」が設けられました。次の条件に該当する場合に適用されます。
・本人が特別障害者に該当する人
・年齢23歳未満の扶養親族がいる人
・特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる人
◆ 年初から源泉徴収税額表が変更されています ◆
以上の改正により、令和2年1月より「源泉徴収税額表」変更があり、毎月の給与から徴収する源泉所得税額が変更されています。上記の改正に影響のある人、すなわち、月額給与が70万円以上の方は、支給額が令和元年12月と支給額が同じであっても、源泉所得税額が増加している可能性が高いです。「源泉徴収税額表」を参考にご確認いただき、もし徴収すべき税額に誤りがあった場合には、どのように対応するかを弊社担当とご相談ください。
◆ 最後に・・・ ◆
平成30年分の所得税から、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用について、大幅な改正がされており、年末調整手続きが従前に比べて「かなり複雑」になっていますが、それに輪をかけて、上記の改正の影響で、令和2年の年末調整手続きは「さらに複雑」になります。「ご本人をはじめ、家族全員分の収入の状況を正確に把握した上で、各種控除額の金額を個別に計算する必要」があるからです。現時点では、国税庁からも具体的な「年末調整に必要な書式等」は「書式案」は公表されているものの、「確定案」はまだ発表されておりません。
また、昨年までは生命保険や地震保険の控除証明書等については書面で提出をすることになっていましたが、令和2年10月以後は「電子データ」による提出が可能となります。これらの「電子データ」を利用して年末調整手続を簡便化するために、国税庁が「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」を令和2年10月頃に無償提供する予定になっています。
年末が近づき「書式」や「ソフトの詳細」が確定して参りましたら詳しくご案内はいたしますが、適正かつ迅速な年末調整手続きのために、皆様には今まで以上に「ご協力」をお願いすることになることとは存じますが、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。
2020.03.04 サクセスサポートニュース(令和2年3月)