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SS NEWS(令和2年2月)~景気後退・悪化局面で必要な対応~

◆ 中国がくしゃみをすると世界が風邪をひく ◆

 数年前から「中国がくしゃみをすると世界が風邪をひく」と言われるようになりましたが、その中国が肺炎にかかってしまいました。ご存知の通り、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎です。2月1日現在、62カ国が中国人に対する何らかの入国制限措置を導入する事態になっております。
 中国の経済的な影響力が最も大きい地域はアジアです。なぜなら、アジア貿易全体の約三分の一を中国が占め、日本を除くアジア全域のGDP(国内総生産)の約半分を中国経済が占めているからです。今回の肺炎の影響はアジアに大きな影響を与えることでしょう。
 すでに日本でも、中国政府による団体海外旅行の禁止措置を受け、日本各地でインバウンド(訪日外国人)ビジネスへの影響が広がっております。例えば、沖縄県那覇港はクルーズ船の年間寄港回数が日本トップですが、1月29日に寄港したクルーズ船(定員5,260人)の乗客はゼロでした。このクルーズ船は中国広東省の港を乗客ゼロで出港せざるを得なかったからです。
 このような事態が日本各地で発生しています。
 インバウンドビジネス以外の業界にも、影響が出てくるのは必至です。

◆ 景気後退・悪化局面で必要な対応 ◆

 中国の新型肺炎に加え、日本国内の景気も減速しています。内閣府が公表している「景気動向指数のうちの一致指数(景気全体の現状を表す指数)」によると 2017年11月をピークに景気は下降しております。
 このような景気後退・悪化局面で必要となる対応は多々ありますが、経営数字の視点で最も重要なのは「資金繰り」です。なぜなら、会社は赤字で倒産するのではなく、資金が底をついた時に倒産するからです。だからこそ、景気後退・悪化局面では「損益」はもちろんですが、「資金繰り」への気配りが何より重要となるのです。

そこで、資金繰りについて、次の数値を是非ご確認ください。

(1)令和元年10月末の預金残高はいくらですか?・・・    万円
  (普通・当座預金の合計。定期預金・定期積金等は含まず)

(2)令和2年1月末の預金残高はいくらですか?・・・    万円

(3)上記(1)から(2)の3か月間で預金残高はいくら増減しましたか?・・・    万円

(4)令和2年2月(今月)から4月までの3か月間の経常利益(3か月合計)はいくらになる見込みですか?・・・    万円

(5)上記(4)を踏まえ、4月末(3か月後)の預金残高はいくらになる見込みですか?
 (借入返済も考慮してください)・・・    万円

(6)上記(5)の預金残高は、「固定費 + 借入金返済額(ともに1か月分)」の何倍になっていますか?

(7)上記(6)の「預金残高 ÷ (固定費 + 借入金返済額(ともに1か月分))が「1」を下回っている場合は、直ちに銀行借り入れをご検討ください。

※ 3か月後の預金残高を予測しておくと安心して経営に専念できると思います。だからこそ、上記のご自分の計算が合っているかご確認したい時、自社の数値がお分かりにならない時などは、ご遠慮なく弊社担当者にご連絡ください。

 景気後退・悪化局面では資金繰りの確認とともに、いかに売上高が下がらないようにするかの視点が重要です。一般的には、新規取引先の開拓よりも既存取引先を同業他社に奪われないことに注力することが効果的です。守りを固める、という視点です。

どうやって守るのか?「QPD」の視点で自社を見直してみることをお勧めします。

(1)Q・・・Quality(品質)
 製品の品質のみならず、製品に付随するサービスなどの品質も含みます。中小企業は製品の品質そのもので同業他社と差別化するのは難しいかもしれませんが、一方で、製品に付随するサービスで差別化することはできます。
 現在、どんな差別化に取り組んでらっしゃいますか?
 さらに、どんな差別化ができそうですか?
 例えば、従業員教育でどのようなサービスをレベルアップできそうですか?

(2)P・・・Price(価格)
 製品価格のみならず、客単価・取引先1件ごとの価格も含みます。
 「松・竹・梅」の3種類ある場合、「梅」より「竹」が選ばれる頻度が多いのはご存知だと思います(ゴルディロックス効果といいます)。
 その心理的効果を利用して、見積書を取引先に提出するときに、今までは1種類しか作ってなかったのを、あえて「松・竹・梅」の3種類を作成して客単価アップに取り組んでいる会社様がございます。

(3)D・・・Delivery(納期)
 多くのお客様が「納期が以前より短くなった」とおっしゃいます。
 短納期を実現するには自社の努力だけでは難しい側面があります。
 仕入先・外注先との連携が欠かせません。
 仕入先・外注先が当社をご贔屓にしていただくためにどんな取り組みを行ってらっしゃいますか? 
 もう一歩いい関係を築くにはどんな取り組みが効果的だと思いますか?
 これらのことを、是非、社長ご自身、役員・幹部、あるいは社内各部署でご検討いただきたくお願いいたします。

2020.02.06 サクセスサポートニュース(令和2年2月)