SS NEWS(令和2年12月)~贈与の検討~
◆ 贈与の検討はお済ですか?? ◆
生前贈与は、どなたでも、簡単にかつ効率的に実行できる相続税対策です。
上手に活用すれば、確実に相続税の節税が図れ、今日からでも実行が可能です。
生前贈与は暦年1月1日~12月31日までの合計で計算されます。
現金の贈与は、あげる側(親)ともらう側(子)との間で贈与契約書を作成して、資金を移動すれば、その日のうちに実行が可能です。
以前のサクセスサポートニュースで、会社経営者の方にはコロナ禍にある今こそ「自社株の贈与」のご検討をお勧めさせていただきました。自社株の評価作業が必要なので「その日のうちに贈与」というわけにはいきませんが、年末まで1ヵ月ありますので、「自社株の贈与」はまだ間に合います。
相続税の納税が予想されるご家族で、令和2年分の贈与がお済でないご家族の方は、弊社担当がご相談に応じますのでお気軽にお声かけください。
◆ 暦年贈与に暗雲が・・・!? ◆
報道によりますと、自民党税制調査会は11月18日に会合を開き、甘利明税調会長は記者団に対し「相続税と贈与税に関し、海外ではいつ資産を移転しても公平で公正な制度がある。国際標準に極力沿う形にしていきたい」と表明したそうです。
先述の通り、日本では毎年少しずつ贈与(暦年贈与)をすることにより、相続税の節税を図ることが可能です。一方で欧米主要国では相続税と贈与税を統合して累積額に一体的に課税しており、資産移転の時期によって税負担が左右されにくい制度になっていることから、日本も歩調を合わせ、暦年贈与による相続税の節税を封じてしまう狙いです。
すなわち、生前贈与の時に贈与税は課されず、相続発生時に生前贈与分を含めて相続をまとめて計算しようとする狙いです。今後は政府税制調査会(首相の諮問機関)で議論を重ねていくようで、先行きは不透明な状況とのことですが、「相続税と贈与税の一体課税」は高い確率で税制改正される方向であることは念頭に置くべきと言えます。
◆ 令和3年3月末に期限が到来する贈与税の非課税制度 ◆
・教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201304/pdf/01.pdf
・結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201504/pdf/01.pdf
制度が制定されてから、年数が経過していますので最近はあまり話題にはなりませんが、相続税の節税の視点からしますと非常に有効な制度です。例えば、教育資金贈与はもらう側1人につき、1,500万円迄の贈与税の非課税枠があります。祖父が3人の孫に教育資金贈与をした場合には、最大で4,500万円の相続財産が一時に減少することになるのです。
先日、「節税目的で利用されないように適用条件を厳しくしたうえで、期限を2年延長する方向で調整」との報道がありました。制度の期限は延長されそうですが、適用条件を厳しくするということは、それだけ節税効果が高いということですので、制度を未利用の方は是非一度ご検討することをお勧めいたします。
◆ 最後に・・・ ◆
暦年課税による相続税の節税は、「贈与により減少する相続税額 > 贈与により支払う贈与税額」の算式が成立するように贈与を行う必要があります。ゆえに「相続税の試算」は欠かせません。また、暦年贈与による相続税の節税は、年数を重ねれば重ねるほど効果は大きくなります。
一方で、「相続税と贈与税の一体課税」の実現により、相続税の節税を封じようとする国の思惑も見えてきましたので、「今後の贈与をいつ、だれに、いくら行うのか」を今まで以上に「真剣に」検討すべき状況になってまいりました。
相続は一生に一度の重要なイベントです。「争族」にならないためには、節税のみならず多角的な検討が必要です。
2020.12.07 サクセスサポートニュース(令和2年12月)