SS NEWS(令和7年2月)~もしかしたら「大きな改正」があるかもしれません!~
先月号のサクセスニュースにて「令和7年税制改正大綱」は、総論として「所得税関連が主で、中小企業経営に係わりのある法人税改正に目玉はないようです」とご説明いたしました。
実は、税制改正大綱には記載が「ない」ものの、中小企業経営者に大きなインパクトを与えるかもしれない「隠れた目玉」があります。今月はその「目玉」についてお伝えします。
◆ 中小企業の株式評価額の算定方法が変わるかもしれません ◆
まずは、経緯をお伝えします。昨年11月に会計検査院が内閣に報告書を送付し、ホームページで公開しました。国の収入支出の決算を会計検査院が検査した報告書です。その報告書の中の「取引相場のない株式の評価について」という項目にて、次の指摘がなされました。(取引相場のない株式 ≒ 上場してない企業の株式 ≒ 中小企業の株式)
指摘【1】・・・上場企業の同業種との比較である「類似業種比準価額」の評価額が低く算定されている。
→ つまり「算定される株式の評価額が低すぎるのでないか」という指摘
指摘【2】・・・配当還元方式(有力株主等以外が保有する場合の評価)の還元率(10%)が高い。
→ つまり「還元率が高い=算定される評価額が低い」という指摘
以下、順を追ってご説明します。
◆ 中小企業の株式評価額の算定方法 ◆
最初に、中小企業の株式評価額の算定方法についてご説明いたします。
(1)有力株主本人及びその親族のグループ(いわゆる支配株主グループ)
次の2つの金額を加味して評価額を算定します。
① 上場企業の同業種の株価等を基準にした金額(専門用語で「類似業種比準価額」といいます)
② 評価する中小企業の純資産価額(純資産額=資産-負債=正味財産額)
(2)それ以外のグループ(いわゆる少数株主グループ)
評価する会社の利益配当金に還元率を加味して算定(専門用語で「配当還元方式」といいます)
◆ 指摘【1】の「類似業種比準価額」 ◆
次に、会計検査院の指摘をもう少し深掘りしてみます。まずは指摘【1】です。会計検査院の意見は次の2点です。
1点目は「取引相場のない株式の評価は昭和39年にルールが定められたが、その後の何回かの改正で、現在は昭和39年当時より、類似業種比準価額が低く算定される計算式になっている」
2点目は「中小企業の約80%は利益配当を行っておらず、かつ、利益配当を行っている中小企業の60%超は上場企業の水準より低い。それにもかかわらず上場企業と比較する指標に利益配当金が含まれている。そのため、類似業種比準価額は株式の評価方法として適切に機能してないおそれがある」
◆ 指摘【2】の「配当還元方式の還元率」 ◆
指摘【2】についての会計検査院の意見は「還元率10%は高い(→株価が低く計算されている)」。詳細は次の通りです。
「現在の10%は昭和39年に当時の金利等を参考に国税庁が定めた。その後の金利水準は、昭和39年から約20年間は、おおよそ6%~10%で推移していたところ、その後は長期的に低下して、ほぼ2%以下で推移している。それにも関わらず、還元率は昭和39年に制定した10%から一度も見直されていない。」
◆ 過去の会計検査院の指摘で税制は改正されたのか? ◆
今までの「会計検査院の税制に関する指摘」を振り返ると、その多くで税制改正が行われております。
最近の典型例は住宅ローン控除です。「住宅ローン控除の控除率1%(当時)が実際の借入金利より高い(借入金利息の金額より控除による減税額が大きい)」との指摘を受けて、「控除率0.7%」に改正されました。
◆ ご検討をお願いします! ◆
「中小企業の株式評価額が低い」との会計検査院の指摘ですから、評価額が上がる方向に改正が検討されると予想されます。改正されるのか否か? どのような改正となるのか? は国税庁の対応を待つ必要がありますが、「転ばぬ先の杖」と申しますので、いまからご検討をお願いします。
特に、株式の贈与・売買をご検討中の方は、お早目に贈与・売買を行うことをお勧めします。
具体的には、次のことをご検討中の方です。
① 事業承継等に伴い後継者等へ株式の贈与を検討中の方
② 株式を、生前に贈与か? 相続で渡すか? 迷ってらっしゃる方
③ 相続税の税金対策として、株式の生前贈与を予定している方
④ 将来の紛争予防のため、親戚に分散している株式を買戻すことを検討中の方
⑤ 経営者株主「以外」の株主が保有する株式について、個人か会社が買い戻した方がよいかもしれないと検討中の方
⑥ 複数の会社を経営されている方で、事業再編等をご検討中の方
ご不明点は、弊社担当者にお尋ねください。
2025.2.10 サクセスサポートニュース(令和7年2月)
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