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サクセスサポートニュース平成29年5月 「トランプ政権の米国ファースト政策から学ぶべきこと」

2017年5月10日

☆ トランプ政権の米国ファースト政策から学ぶべきこと ☆


■ 1.アメリカ、イギリス、フランスの自国主義政策 ■

 アメリカではトランプ大統領が就任直後にTPP離脱を表明し、「米国ファースト政策」が実行されつつあります。そして、先進国の自国主義は、昨年のイギリスでのEU離脱の国民投票を皮切りに、アメリカでのトランプ政権誕生、フランスでの4月下旬の大統領選挙で反EU候補者が決選投票進出と、各国の世論を席巻しています。
 「自国主義政策」について各メディアで議論されておりますので、良し悪しはエコノミストや経済学者にお任せするとして、今月のサクセサポートスニュースでは、「先進国の自国主義政策から中小企業経営者は何を学ぶべきか?」についてご一緒に考えたいと思います。


■ 2.トランプ政権がTPP離脱を表明した理由 ■

 トランプ政権は、TPPは次の点でアメリカにマイナスと考えているようです。

@TPPにより、アメリカは輸出量より輸入量が増えるから貿易赤字が大きくなる。
ATPPにより、アジアから低賃金の労働力が流入するからアメリカの雇用が減る。自由貿易によりアメリカが損をする、という見解です。


■ 3.自国主義により恐慌が拡大 ■

 国際貿易において、非常に大事な概念があります。今回の先進国の自国主義政策を議論する上で欠かせない考え方です。「比較優位」という理論です。
 イギリスの経済学者デイビッド・リカードが提唱した貿易の大原則です。これは、一言でいうと「2国間で貿易をすると、両方の国にとって利益となる」という理論です。19世紀にこの理論が提唱され、貿易をすると双方にとって有益なことがわかり、国際貿易が活発に行われるようになりました。
 ところが1929年に世界大恐慌が起こり、状況は一変しました。自国産業を守るため輸入制限や高い関税をかける自国主義政策が各国で行われました。そのため国際貿易がほとんど行われなくなり、かえって不況が深刻となり恐慌が広がりました。行き過ぎた自国主義は世界経済にも、そして、その国にもマイナスとなることが分かりました。
 その反省を踏まえ現在はWTO(世界貿易機関)が設置されております。


■ 4.中小企業経営者が学ぶべきは「比較優位」のエッセンス ■

 ここで注目したいのは、「2国間で貿易をすると、両方の国にとって利益となる」という「比較優位」という考え方です。非常に示唆に富んでおります。どういう考え方か、次の例で見ていきましょう。

 @A国は自動車と米を生産している。
 生産性は「自動車>米」、また、自動車も米もB国より生産性が「高い」

 AB国もA国と同様に、自動車と米を生産している。
 生産性は「自動車<米」、また、自動車も米もA国より生産性が「低い」

 上記@Aの状況の場合、A国にとって次のどちらの政策が有利でしょう か?

 1)生産性の高い自動車に自国の労働力全部を振り向け、米はB国から輸入する
 2)自動車も米も両方とも生産する

 解説は省略しますが、リカードによると、1)が有利です(自由貿易を前提)。そして、B国は米生産に特化することが有利となります。

 大事なポイントは、次の点です。
 A国は、米の生産がB国より得意でも、米はB国から輸入した方が有利となる。
 B国は、米の生産性がA国より低くても米生産に特化すれば有利となる。
 A国は、自動車も米もB国より生産性が高いので、どちらも生産することが有利になりそうですが、実は自動車に特化した方が有利になります。

 A国を中小企業に置き換えると、次のように表現できます。
 「x製品、y製品の両方とも製造が可能だとしても、生産性(付加価値)が高い製品に特化することが有利となる。xもyも取り扱うのは最も有利とはいえない。」

 別の言葉で表現すると「選択と集中」です。
 日銀が景気判断を「景気は緩やかな拡大に転じつつある」と上方修正したものの、ほとんどの業種では「回復基調も感じられない」状況だと思います。売上確保のため、どうしても品種・品目の拡大を志向したくなりますが、上記のA国と同様、中小企業の場合も、xもyも取り扱うのは最も有利とはなりません。
 自社はx製品に集中し、y製品は良きパートナー(協力企業)と提携するのが有利と、リカードが教えてくれております。(なお、これは一般論であり、全てのケースに当てはまるのではございません。)


■ 5.社内で経営者がやってはいけないこと ■

 ノーベル賞経済学者のポール・サミュエルソンが、リカードの「比較優位」を「弁護士と秘書」に例えて説明しているのが中小企業経営者の参考になると思います。

 「有能な女性弁護士Aは、弁護士の仕事だけでなく、タイプを打つ仕事も得意です。
 秘書は、弁護士・タイプの仕事において、弁護士Aより不得意です。更に、秘書は、タイプはできるが弁護士の仕事はできません。
 このような場合、女性弁護士と秘書はどのように仕事を分担するのがいいでしょうか?
 ベストな方法は、女性弁護士Aは弁護士の仕事に特化し、秘書にタイプの仕事を任せるやり方です。それが、弁護士・タイプの仕事が最も効率よくできるからです。そして、これが比較優位の考え方です。」

 中小企業の経営者は、トップセールスマンであり、製造部長であり、人事部長、経理部長と1人何役もこなされております。営業も製造も、能力が一番高いのは経営者だからです。
 しかし、サミュエルソンの例えは、そのやり方は効率の観点からベストではない、と言っております。直ちに変更するのはムリとしても、少しずつ社員を育て、任せることで、経営者が得意とする分野に集中する環境を作ることが、会社をより一層発展させる秘訣であると「比較優位」の概念は教えてくれております。

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