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SSレター(No.23) 長期不況下の経営を考える(6)

2012年07月01日

サクセスサポートレター(No.23)
               長期不況下の経営を考える(6)

                                      平成24年7月1日
                                      税理士法人サクセスサポート
                                      代表社員  小 林 晟 祐


(前月より続く)

(2)具体的な分析方法

 前月で損益分岐点計算表の二期比較と部門別等分析の必要性を述べましたが、今月は具体的な部門別等の分析方法を説明します。

 利益(注)を大きくするためには、@ 限界利益をできるだけ大きくする、A 固定費をできるだけ小さくする、という二つの努力目標を達成することが必要ですから、限界利益と固定費の現状を分析し把握することからスタートします。


@限界利益の増減分析

 限界利益は「売上高×限界利益率」ですから、売上高と限界利益率の両方が大きくなるに越したことはありませんが、いずれか一方が小さくなっても他の一方が大きくなることによって、結果として限界利益が大きくなれば良いわけです。
 したがって、売上高の分析と限界利益率の分析は、それぞれについて行いながらも、常に両方の分析を総合して判断する視点を持つことが肝要です。

 また、限界利益率は(1−変動費率)ですから、限界利益率をできるだけ大きくするということは、実際の経営努力としては変動費率をできるだけ小さくするという方法によります。

 したがって、経営改善のための原因分析は、通常、売上高と変動費率及び固定費の三つの要素について行う必要があります。

(注)前に説明したと思いますが、損益分岐点計算上の「利益」は、損益計算書上の当期利益ではなく、特別損益項目を加減する前の「経常利益」のことです


(ア)売上高の増減分析

<販売数量の増減と販売単価の高低に分けて分析する。>

 売上高を検討する際、まず前期比でいくら増減したか比較しますが、それは売上高という金額の増減の結果にすぎません。
 経営改善のための情報としては、その増減の原因を分析する必要があります。

 言うまでもなく、売上高は、各製品の販売数量×販売単価の累計額ですが、損益分岐点計算においては、一方の販売数量は販売活動の大きさを示す数値であり、他方の販売単価は(販売単価と単位原価との差額が限界利益ですから)限界利益率という販売活動の効率を示す数値であるということをはっきり認識し、そのような認識の上で、売上高の増減分析を、販売数量の増減分析と販売単価の高低の分析の両面から分析する必要があります。

 例えば、売上高が減少した原因は、通常、販売数量の減少によるものと考えがちですが、これは販売単価に変動がないときに言えることであって、デフレ下では、販売数量は横這い又は増加したにもかかわらず、販売単価が下落したことによる場合があることを想定する必要があります。
 このようなことは、売上高の増減分析を販売数量の増減分析と販売単価の高低分析に分けて行うことによって始めて分かるのです。

 販売数量については、全製品について自動的にデータが得られるシステムができていない場合は、分析コストと得られる効果とのバランス(以下{合理性}という)を考慮して、重要と思われる上位の部門や製品群、又は各製品群の代表的な上位の製品、若しくは、会社が注目している特定品目だけでも良いのです。

 販売単価は、同一製品でも販売先・受注数量によって異なる場合がありますので、実務上は、まず各製品の販売数量のデータをとり、製品別売上高を販売数量で除して平均販売単価を逆算する方法や、この方法を製品群単位、部門単位で行う方法もあります。
 単位を拡大するほど現実の販売単価の数値は乖離しますが、当該製品群等の販売単価の傾向が何%変化しているか把握できれば、有効な情報になります。

<販売数量の増減と販売単価の高低の原因を分析する>

 例えば、以下のような諸原因が考えられます。後述の計画の参考資料として検討し、その結果を記録しておきます。
 ・世界や日本の経済状況 (経済成長率、物価、為替、雇用、資源、災害、人口)
 ・業界の状況 (市況、海外競争力、流通・物流の変化、主要企業の動向等)
 ・消費者行動 (高齢化、少子化、所得の状況、嗜好の変化)
 ・販売方法 (販売価格政策、値引き販売、ポイント制度、販売ルート等の変化)
 ・そ の 他


(イ)変動費率の高低分析(限界利益率の高低分析)

<全社又は各部門の変動費率分析>

 変動費率は「変動費÷売上高」です。この両方における数量は同数ですから、両方を数量で除しますと、売上原価(製造業では製造原価中の固定費を除く変動費)及び販売費管理費中の変動費(以下「変動費単価」(注)という)と「販売単価」になります。
 つまり、変動費率は 実は全社又は各部門の単位当たりの「変動費単価÷販売単価=変動費率」であることを理解して下さい。

(注)ただし実務においては、販管費管理費中の変動費については、全社や部門別分析の際に含めることを原則とし、製品別分析の際は、重要性がないことを前提に、販売業においては売上原価(購入単価ベース)のみとし、製造業においては売上原価中の(固定費を除いた)変動費のみを変動費とする方法が合理的とされ、広く行われています。

 したがって、変動費率の分析は、変動費単価だけの分析ではなく販売単価の分析との関連に注目して行う必要があります。上記(ア)において、売上高の増減分析を販売数量の分析と販売単価の分析に分けて行う必要を述べましたが、その販売単価の分析がこの変動費率の分析と重要な関連があるのです。

 次の表を見て下さい。変動費率が2ポイント上昇し、限界利益率は2ポイント低下しています。その原因は、変動費単価そのものは(60円−56円)÷60円=7%低下していますが、販売単価が(100円−90円)=10%も低下しているからです。販売単価の低下に、変動費単価の引き下げが追い付いていないのが現状です。

<変動費率の分析例>

      (  前     期  )         (  当     期  )
      数量  単価   金額   比率     数量  単価  金額   比率
売上高  500個 100円  50,000円 100%   450個 90円 40,500円  100%
変動費  500個  60円   30,000円 60%    450個 56円 25,200円  62%
限界利益 500個  40円  20,000円 40%    450個 34円 15,300円  38% 

 なお、ここに例示したような単価は、直接、簡単に得られません。理論は分かるけど実務上は困難とお考えの方が多いと思います。
 しかし、各部門の二期の販売数量の概数を得ることによって、その販売数量の増減率を用いて売上高から販売単価の高低率を仮定することも可能です。

 上記の「変動費率の分析例」の数値を用いて説明しますと、前期売上高50,000円で前期販売数量500個であれば平均販売単価は100円と計算できますから、同様に当期売上高40,500円で当期販売数量450個を把握できれば、平均販売単価90円と計算し、販売単価が約10%低下していると判断することができます。

 また、販売数量についても、品種の異なるものの総数量から、このような計算は不可能ではないかという声が予想されますが、損益分岐点による経営分析では、あまり網羅性や正確性を求めることなく、割り切って、会社の業種、規模、管理システムの程度に応じて、「可能な範囲で可能な方法」を創意工夫することが肝心です。

A固定費の増減分析                             
紙面の都合で、来月でご説明します。                (続く)

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